ささざめブログ

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【考察】フェイクドキュメンタリー「Q」|『Q:EX トロイの木馬 - September 23, 2023 Live streaming』

YouTubeにて配信されている大人気ホラーモキュメンタリー、フェイクドキュメンタリー「Q」より、2023/9/23の生配信作品のアーカイブ版が公開されたので、その変化点の整理と追加の考察をする。

※配信時の考察は以下で読めます。本記事では、変わった場所や、そこから考えられる新たな要素について言及しますので、大筋の考察は以下をお読みください。

sasazame.hateblo.jp

前回の配信から約2週間、とうとうアップされたアーカイブ版。

一時は、アーカイブも残らないと言われ、見れなかった人たちの阿鼻叫喚が見られたが、とうとう再アップが叶った。私も、見ることができなかった2番目の配信部分を見ることができ、大変満足である。

ただし、公開後アーカイブ化されるまでに時間がかかったこともあり、ネット上では「どうせQのことだから、絶対なにかいじってくるだろう」などと予想されていたが……。

(本編:是非先にご視聴ください!)

youtu.be

 

以下、内容ネタバレを含む考察になります。ご注意ください!

タイトルの意味|一体何がトロイの木馬だったのか

生配信時には、文字化けのタイトルであったが、再公開に伴い正式な作品タイトルが付与された。

配信時:ニ篷ッ、ホタクヌロソョ(文字化けを解読すると内部告発の生配信であった。また、配信1と配信2が存在した)
今回:トロイの木馬 - September 23, 2023 Live streaming

トロイの木馬といえば、真っ先に思い浮かぶのは、マルウェア(悪意を持ったコンピュータプログラム)の一種だ。実は定義される意味が広い言葉であり、その意味は掴みきれない部分があるのだが、簡単に言えば「自己増殖機能を持たない・一見有用なプログラムやファイルに見えて裏でこっそり悪さをする機能を持っている」という類のものだ。

そもそもの語源はギリシャ神話のギリシア軍とトロイア軍の戦争の話から。ギリシア軍は巨大な木馬のなかに兵士を隠し、トロイア軍にその木馬を城内に引き入れさせた後、木馬の中に入っていた兵士が木馬から出てきて、城内の門を開け味方が侵入できるようになり、ギリシア軍は場内に攻め込んで勝利を収めたというような話。

つまり、マルウェアの文脈でも、原語の文脈でも、どちらの場合も「こっそり中に入り込んで悪さをする」というような意味が大部分を締めていると考えられる。

ここで問題としたいのは、本作では何が「トロイの木馬」だったのか。これは、わざと色々な見方のできる余地を残したタイトルがつけられているのだと思う(制作班、どこまで事前に考えているのか……凄いの一言である。まあ視聴者の考え過ぎという線も考えられるのだがw)。

①「内部告発者」がトロイの木馬だった

普通に考えると、まず件の配信を行った人物、つまり内部告発の生配信を行っていた人物こそがトロイの木馬だ。一見すると、イチ作業員であったが、彼はその作業(実験の後片付け?)の様子を内部告発として世界中に発信していた。この実験を行っていた宗教団体(?)からすれば、まさにマルウェアのような存在である。

②「箱」がトロイの木馬だった

元々の意味であるトロイの木馬には、中に人が入っていた。今回の配信にもちょうど中に何者かが入っていそうな物がある。そう、あの「箱」だ。例のメモで書かれた大量破壊兵器であると目されるそれこそが、トロイの木馬なのではないかとも考えられる。

前回、私は考察する中で、あの箱の中には行方不明とされる娘(箱の製造者)が取り込まれてしまっているのではないかと考えていたのだが、その考えとも合致してやや興奮したところだ。

ただし、あの箱、見るからに禍々しく、「一見すると害はない」どころか、害しかなさそうな雰囲気なのでちょっと微妙だなぁとも思ってしまう自分がいる。

③「配信そのもの」がトロイの木馬だった

この見方も、X上で多く見ることが出来た。②の箱がトロイの木馬がだったという話とも繋がってくるのだが、あの映像を見ていたことにより、箱の呪いが視聴者にも伝染し完成するというような考え方だ。

内部告発の生配信」という言葉(文字化けだったが)に包まれたその映像は、ネット上で見るものからすると、非常に価値があり見なければならないもののように感じてしまう。その感覚に逆手に取り、全世界に呪いをばらまき、それで「みんな死ぬ」という結末を辿るのだと考えると……まさにトロイの木馬的ではあると言えるだろう。

また、この考え方は、もっとメタな考え方をしても筋が通っている。というのも、わたしたちのようなフェイクドキュメンタリー「Q」の視聴者は、この配信が「フェイクのホラードキュメンタリー作品だ」と思って鑑賞しているからだ。

「嘘」という木馬の中に入っているものは一体何なのか。これは、このシリーズ全体に共通する謎なのかもしれない。

 

メモの内容を再確認

例の手書きのメモは、公開当時からかなり考察の対象となっていた。殴り書きの文字であったこともあり、人によって読み取った内容がやや違ったからだ。

画像

今回の映像では、その内容が明確に文字で起こされた。また、字幕機能により英語訳もつけられた。余談だが、Qシリーズでは英語字幕によって、曖昧な部分が明確になったりすることもあり、作品の内容を深く読み取るのに役立つ場合がある。

以下は、動画内で文字起こしされたメモの内容である。確認しやすいよう、日本語と英語字幕を併記した。■は黒塗り部分を表すが、その数は英語字幕から抽出したものである(日本語の方は画面に長方形で表示されているため)。

(冒頭の黒塗り部分は翻訳なし)

■■と■■の娘■■が■■を作ったとされている。■■■■はハ滅。
■■and■■the daughter of ■■created ■■. ■■■■ is destroyed.

■■と■■は死亡. ■■は行方不明.
■■and■■ are dead. ■■ is missing.

その後家は■■が買い上げ ※■■は■■■■■■関係者.
After that the house was bought by ■■ ※■■ was involved in ■■■■■■.

家から■■■を回収.
■■■ was collected from the house.

幹部の■■■■たちが実験を繰り返している。
■■■■ who are the principle members, have been experimenting repeatedly.

使用方法が不明. 多数死亡者がでている。
The usage is unknown. There has been many victims who are all dead.

あの■■■■は大量破壊兵器である.
That ■■■■ is the weapon of mass destruction.

■■は■■によって姿を変えられた一家だとしている.
■■ is a family changed in appearance by ■■.

■■■■は現在もハイキョとして存在。
■■■■ still exists, though abandoned.

彼らは良からぬ事に使う可能性大
It is highly possible they are planning to use it again.

この文字起こしにより、いくつか解決したものと、新たに気になる部分が生まれてくる。

以下、気になった部分を少し分解して考えていく。

■■(A)と■■(B)の娘■■(C)が■■(D)を作ったとされている。■■■■(E)はハ滅。
■■(A)and■■(C) the daughter of ■■(B) created ■■(D). ■■■■(E) is destroyed.

日本語側の読み方では「AとB」の娘「C」が箱を作った、つまり箱の作成は娘のみで行ったというふうに読めていたのだが、英語ではA and C, the daughter of Bと表現されているように読める。この構造だけでは、「AとC」がBの娘のようにも読める可能性がある。
ただし、日本語側の構造からすると、CだけがBの娘でありそうではある。つまり「A」と「Bの娘のC」が箱を作った。二人がかりで作ったという読み方が出来る。これまでは娘一人で箱を作ったのかと思っていたのだが、そうではない可能性が出てきた。また、AとBCには血縁関係がないと考えられる。

「ハ滅」という部分は、(後に破壊が書けているにもかかわらず)ハがカタカナだったこともあり別の読み方もするのではないかと思われていたが、destroyedであったことからやはり破滅であっていそうだ。ただし、何が破滅したのかは定かではない。

 

家から■■■を回収.
■■■ was collected from the house.
(中略)
あの■■■■大量破壊兵器である.
That ■■■■ is the weapon of mass destruction.

■■はによって姿を変えられた一家だとしている.
■■ is a family changed in appearance by .

■■■■は現在もハイキョとして存在。
■■■■ still exists, though abandoned.

赤いで表現した部分は、当初、あの箱のことを指しているのだと思っていた部分だ。日本語も英語も内容は一致しているように見えるのだが、そのの数が、上記のDと異なっているのが気になる。てっきりどちらもあの箱のことを表しているかと思ったのだが……。

一方で、最後のハイキョとして存在しているものの■の数は、大量破壊兵器として書かれているものと同じ数の■で表現された。大量破壊兵器=ハイキョの可能性があるのか?

 

彼らは良からぬ事に使う可能性大
It is highly possible they are planning to use it again.

細かい点だが、「良からぬことに使う」の部分が"use it again.(もう一度使う)"に変わっている。これも意図した翻訳なのかどうか気になった。

 

その他にも、"."と"。"の違いが明確に表現されているなど、更に気になる点はあるのだが、どれもこれといった確証につながるものはなく、ただただ謎が深まるばかりだ。英語についてもただ単に誤訳の可能性もあるし、ここで書いたものも意味のない差かもしれない。

 

映像の順番が変わったのは何故か

今回、最も不可解だったのが、生配信1と生配信2の映像が、アーカイブでは逆転していたことだ。アーカイブ版は次の構成になっている。

①X(Twitter)上で貼られたメモの画像
内部告発の生配信2の映像
内部告発の生配信1の映像

なぜ②と③が配信時と逆転したのか。この答えを考える上でヒントとなる画面があるそれは、②と③の間に挟まれる以下の文言。

①のメモのあとはすぐ②が始まるのに、なぜか③の前にだけこれが挟まるのである。これはつまり、生配信1と生配信2は連続した放送ではなかったということなのか。(あるいはそう考えさせるミスリードの可能性もあるが……)

生配信2の映像の内容としても、生配信1のあとに連続して撮影されているとは思いにくい部分がいくつかある。

まず、生配信1で逃げたあとの配信にしては焦っている様子があまりない。配信冒頭でも息が切れている様子はないのだ。普通、逃げながら撮影したとしたら、開始時点から息切れしていそうなものだ。なのに、息が切れるのは家に近づいていった所から。この息切れは、走って逃げたからではなく、緊張からくる息切れではないか?と感じた。(呪いを恐れている?)

また、生配信2の撮影を行っている人数も気になっている。当初2人と見られていたが、おそらく3人いるのではないか。一人は撮影者である、これは明確だろう。

もう一人は、冒頭でスマホ画面をこちらに向けてくる人物。右手にはかなり光量のあるライトを持っている。指の細さから女性のようにも見える。生配信1とは違って、画面に映る配信画面が白く、ダークモードでない。

次に、撮影者は後ろを振り返る。そこにいるのは、今のスマホ画面を見せた人物と別の人物に見える。直前には画面右下にスマホ画面の残像が残っていたように見えるが、左側に振り返るとこの姿が見える。

この人物は進行方向を指示しているように見える。リーダー格の人間なのか?

更に謎を深めたのは、この映像の最後。当初は「いたぞ!」という声が遠くから聞こえたという証言があったのだが、今回字幕により、それが「来たぞ!(They are coming!)」だったことがわかった。一体何が来たのだろうか? 追手が来たことを知らせているのか?

 

やはり謎ばかりが積み重なって行く。この生配信2が見せたかったものは何だったのか。おそらく、あの最後に映る禍々しい物体だとは思うのだが、なぜそれを先に見せたのだろうか(生配信1の嘘だから!で作品を終わりたかったというメタすぎる考え方もできるのだが……w)

 

無限に頭にハテナが浮かび始めたため、この逆転の件については疑問・仮説を箇条書きにして終わろうと思う

・今回生配信2と1が入れ替わっているのは、時系列順にするため?
・生配信2と1では、何か違う目的がある?撮影者も別?
・この告発の生配信を編集した人の目的は?

 

映像的な変化点

前提として、生配信2については、私は配信時に視聴できていない。そのため、生配信1の部分についてのみ言及する。

まず、基本的に映像としての追加部分は無いと思って良いと思う。生配信のときと別の映像が差し込まれたとか、そういうことはなさそうだというのが私の考えだ。ただ、ネット上で見ていると音声が一部変わっているという声もある。私には判別出来ていない。

そんな中で、私が明確に変わったと感じているのは以下の部分だ。

冒頭の移動部分は削除

生配信では、冒頭3分程だっただろうか、車での移動をしながら、YouTubeのチャット画面を写していたが、コレがカットされていた。作品として無駄だからカットされたのか、なにか不都合があったのか。(個人的には前者だと思う)

配信が一時停止したときの読み込み表示(グルグル)は削除

前回視聴していたときには、定期的に読み込み中のグルグルエフェクトが表示されていた。今回の映像では、それが完全にカットされていた。このグルグル、前回から不思議に思っている部分である。配信の都合として入ってしまった読み込みなのか、意図したものなのかが不明なのだ。

今回作品として無駄な部分だから削り取ったのかどうかは分からないが、なにか意味がある変化なのかもしれない。

ちなみに、どうもあのグルグルで抜け落ちていたシーンというのもなさそうだった。やはり機器的、あるいはネットワーク的に仕方なく入った読み込みだったのか……?

箱を落として開けてしまった瞬間を削除

ここは、明らかに意図した編集が行われている。箱を落としてしまった直後の部分が明確に切り取られているのだ。

前回も言及したのだが、箱が開いた瞬間、携帯の着信音のような音や、おもちゃのような音が鳴り響いていたのだが、その部分が完全に消えている。箱を落としてすぐ「携帯ダメ!」の台詞につながるのだ。

これを見て思ったのは「あの箱が開いた瞬間の映像は編集者が見ることができなかった」あるいは「呪いが拡散されないように削除してある」などだ。もしかすると、箱が開いたことではなく、あの音の部分にこそ呪いの本質部分があったのではないか。

この周辺シーンを見ていると、もう一つ気になることがある。箱を落として開けてしまったことで、落とした人物(字幕:防護服A)は相当焦っているように思えるが、その他の人物(とくに、携帯ダメ!の人物)はそれほど焦っているように見えない。

むしろ、どちらかといえば携帯を奪い取ったあと、配信をしていたということに非常に驚愕しているように見える。そしてその後「死ンジャウ ミンナ死ンジャウ(No... you'll die... We'll all die...)」と来る。

つまり、箱の呪いは、ただ開けただけではそこまで被害はないのではないだろうか。電波に乗って、こうして配信で拡散されたことが、呪いの発動のキーになっているのではないか。

そう考えると、この内部告発の生配信は本当に告発の意図だったのかという疑問が大きくなる。生配信2の方は確かに告発だったのかもしれない、でもこっちの生配信1はもしかすると何か悪意のある配信だったのでは……?と。

 

まとめ

考えれば考えるほどドツボにハマっていき、なにも正解が思いつかない本作。アーカイブが公開されたことで、より謎が深まってしまった。もう完全に、Q制作班の手のひらで踊らされている私である。

もう何も解明出来ていないに等しいが、この文章が、皆さんがこの作品をより楽しむ一助となれば幸いである。