ささざめブログ

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【漫画】最弱の道具屋、魔王に就任『すだちの魔王城』(既刊7巻)の感想

森下真著『すだちの魔王城』(既刊7巻)を紹介/レビュー。

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紹介/感想

月刊少年マガジン連載、少年漫画的な熱い王道展開も多分に含みつつ、心優しき主人公・ムラビトと彼が出会う個性しかない面々の織りなすコメディとドラマが最高な作品。次にくるマンガ大賞2023の第5位に選出されている作品で、既刊7巻でありながら、まだまだ世界の広がりが楽しめそうな一作!

DMMブックスにて1, 2巻が無料だったのがきっかけで、試しに読んでみたところもう心臓を撃ち抜かれたので、早速全巻購入して一気読みしたのだった。


主人公は勇者が旅立って最初に訪れた、サイショ村の道具屋・すだち屋。今は亡き父の店を、魔王が倒され平和になった世界においても、守り続けるべく店主として悪戦苦闘する毎日。

主人公と元・魔王の少女マオ(可愛い!)との出会いをきっかけに、なぜか「第777代魔王」となってしまった少年。しかし、相変わらずの人の良さと店を守るという信念で、ぐんぐんと周りの人も巻き込んで成長していく姿はぐっとくる熱さがある。

全体を通して、とにかくキャラクターの魅力が満載で、どいつもこいつも愛おしい作品。主人公はもちろんのこと、物語が進むにつれて愛らしさが増していくマオや魔物たちに、やさぐれて酒臭くて鬱持ちだけど超強くて頼りになる勇者アッシュ。他にも一筋縄ではいかないようなキャラクター満載で、毎話ドキドキが楽しむことができた。

王都編の迫力はスゴイ

中盤では、ある理由から、すだち屋一行が王都に行くことになる。そこでは、国王・パルヌゴスが強大な敵として主人公たちの前に立ちはだかったりもするのだが、彼の迫力がそれはもうとんでもない。

温厚でおちゃらけた雰囲気のシーンも挟まったりするのだが、鬼気迫るシーンではもう背筋が凍るほど恐ろしい。そこまでに至る物語、そして彼の抱える闇が晴らされていく物語は必見!

もうめちゃくちゃ王道展開ではあるのだが、王に立ち向かうムラビトとアッシュの姿には、思わず涙腺が緩まされた。

王都編では、他にも勇者のかつての仲間である超絶美人魔法使いのリラと、聖女のシャリテやら、この先の大いなる障害となりそうな、ムラビトの友人にもなった大商会の社長である青年・アキードなどなど、魅力的なキャラクターがぽんぽん出てきて最高だ。

まとめ

最新7巻では、雪景色が美しい新章・ゴルドワーフ編に突入。この世界に迫る脅威と、主人公たちとの邂逅が迫っているんではないかと予感させる状況だ。

個人的に大好きなキャラの一人である、エボルシオンさんも加えて、冬の装いで捜査に挑んでいくというところで終わっていて、もう早く続きが読みたくて仕方がない!

とはいえ月刊誌連載で、刊行ペースは比較的ゆっくりだろうと思うので、気長に待っていたいと思っていたりする。まだ読んでいないのなら是非オススメしたい一作だった。

余談

  • 弱っちいけど心優しい少年が魔に…っていうので、「魔入りました!入間くん」を思い出して、向こうも全巻持ってる私は、「何か僕こういうの好きなのかな…」とちょっと恥ずかしくなったりした。どっちも違って最高ですよ。
  • マダムが超かっこよくて好きなキャラクターなので、もっと登場してムラビトに甘えさせてあげて欲しいなぁなんて妄想したりする。あと村長も異常に可愛くて好き。